異国の地、ベトナムに伝わる楽器、トルンを日本で演奏するひとりの女性がいます。演奏がはじまると、その小さな体からは想像ができぬほど、大きく、勇壮に音を奏でます。彼女が軸となって結成されるトリオは、ジャズの感触に覆われたアンサンブルを奏で、潤いのあるグルーヴを響かせます。その音は、想像してしまいがちな「伝統」とは違い、現代的であり、未来的ですらある。音楽を聴いていると、この人たちは、一体、どんなところを目指して楽隊の旅を続けているのか、気になってくる。彼らが音楽にのせ、運んでいる想いを、小栗久美子さん、岡山晃久さん、菊田茂伸さんの3人に聞いてみました。
鷺沼という土地には月見堂という不思議な夫婦が営むお店があります。今回、ここに注目したのは、この夫婦が2009年の5月16日に行った即興演奏のライブがあまりにも美しく、神々しく、素晴らしかったからです。彼らが一体何者であるのかは、ひと言ではなかなか言い表せません。「前衛音楽家」という単語を使うこともできるし、「ショップオーナー」というわかりやすい単語を使うこともできます。明らかに普通の人とは違った表情を浮かべる彼らは、めったに出会えない生き方をしている人たちのようです。
鉄割アルバトロスケットという舞台芸人の集団があります。鉄割の舞台は、4コマ漫画をロックな演劇にしたような、彼らからは、そんな印象を受けます。何も断定しないし、何も押し付けてこない。オチがあるようなないような、短い演目が淡々と舞台の上で繰り広げられていく。お客さんたちが笑うポイントは、まったく一致していない。それぞれ各自がみんなバラバラなポイントで笑う。コメディではあるのだが、お笑いでは決してない。1997年の旗揚げから12年の歳月を経て、いよいよ脚光が集まる鉄割から、脚本の戌井さん、演出のみさをさん、役者の村上さんにお話をおうかがいしました。
鹿児島県にある桜島は、鹿児島に住む人々にとっては心のシンボルとも言える風景なのでしょう。半島である桜島にそび立つのは、御岳と呼ばれる活火山。この火山が、現在も小規模な噴火を繰り返しています。桜島焼は、桜島の火山灰と温泉水を使ってつくる焼き物です。桜島ならではの素材を用いた陶器。ここには、この土地の心が映されているのでしょうか、見る人に自然の豊かさと原始的な荒々しさを印象づけます。この桜島焼きをつくるのは、桜島の麓に店を構える桜岳陶芸。この窯元、伝統から数代と続く窯元ではありません。なんと、この窯元、ある男の人が一代で築き上げたという一風変わった窯元なのです。
ロックであれジャズであれソウルであれ演歌であれ、今ある大衆音楽において、エレキ・ギターというものはなくてはならない存在です。おっかけギャルから、ギターキッズまで、人々を虜にしてやまないのがエレキ・ギターという楽器。ギターメイカーと聞けば、フェンダーやギブソン、フェルナンデスなどの大メイカーを思い浮かべるのが世の常でしょう。しかし、西東京の山奥でひっそりとふたりの職人によって営まれるギターメイカーがあります。噂では、このメイカー、アメリカで展示会をやれば完売するほどの人気を誇るのだとか…。一体、どうしてそんな不思議なことがなせるのか、彼らの工房、ジャージィーガール・ホームメイド・ギターまで足を運びました。