マガジン

石鹸工場を訪ねてみました

カテゴリー: マガジン
2009年8月17日 0 コメント

初夏のある日のこと、大澤寛くんという知人からお中元をいただいた後、一本の電話が入ってきました。大澤くんは、プログラマーをしながら割と都会的なお洒落ライフを楽しむパパです。生まれも育ちも東東京、いわば下町っ子です。
「この間、石鹸送ったんだけど、どうだった?」
「ああ、あの牛乳パックみたいなやつね、いやぁ使い心地最高だね。”ありがと う”いい忘れてたよ、もらった電話で何だけど、”どうもありがとっ”」
「何だよ、そのやる気のない”ありがと”はっ! まあ、いいけどさ。いやさ、 この会社、君、取材したりしてみない?」
「えっ、取材? したいしたい。一体、どこにある会社なの? なにっ、墨田区、ああ、下町の墨田 、東東京だね。へぇー、そんな石鹸会社があるんだ。それはいいね。よし、ぜひ取材 しよう!」
そんな話の流れにのって、取材をさせていただくことになったのが、今回の下 町にある石鹸会社さんだったのでした。

訪ねた人:三木逸郎(ミヨシ石鹸・営業本部長)
場所:ミヨシ石鹸
取材:鈴木 "スズ" 隆文

ミヨシファクトリーソープ

ミヨシファクトリーソープという、
工場直送の石鹸があります。
つつましやかなパッケージは
デザインされていないデザインという感じで、
好感が持てるものです。ホームページを見てみると、
「主役は石鹸」ということで、梱包もシンプルにして、
「ボトルも自分で買ってください」と書かれています。
どうも、こだわりのスタイルをお持ちのようですね。

miyoshi04
ミヨシ石鹸は両国にあります。なかなか古めかしい感じのいいビルです。

さて、この石鹸をつくっているメーカーはミヨシ石鹸株式会社、
この石鹸の企画者は、同社の営業部長である三木逸郎さん。
ゆくゆくは同社を背負って立つ3代目です。

「石鹸というのは、売るものではなく伝えるものなんですよ」。

先代から受け継がれる言葉を語る彼が
特に声を大きくしたのが
「まごころ」ということでした。
いや、これは儀礼的な意味のものではなくて、
心から「まごころ」、ホンモノの「まごころ」だそう。
漢字にするのなら、「真真心」くらいのことでしょうか。
それくらい力強く、そして気持ちよく、
三木さんは「まごころ」に力を込められていました。

miyoshi08
この巨大な筒状の槽は、鹸化釜と呼ばれるものです。

miyoshi03
何やら、ガンダムを連想させる近未来的なフォルムをもった機械の登場です。何をする機械なのでしょうか。

「まごころ」でも商売は成り立つんです。

「当社はまごころという、
ある意味では職人的な心を大切にしているんです。
そんなので商売が成り立つのか?
って言われることもあるんですけど、
現実には成り立っているんですよ(笑)」(三木営業部長)

三木さんは、こう断言します。
今の時代、こういう発言はなかなか聞けるものではありません。
言い換えてみたら「結局、善は勝つ!」、こう言っているわけです。
それは、本当に多くの人を元気にしますよね。
特に、こういう不況下においては。。。。
何しろ、今の世に流布して、
定説のように語られるのは、
「あこぎにしなけりゃ、商売なんかになるわけない!」
というガッカリな考えがほとんどなのですから。
でもまあ、そこにだって
「悪の美学」のような気分が織り込まれていたりする、
不良ぶりたい人間の性が見え隠れはしているのでしょうけど…。
でも、やっぱり、まわりがそんな人たちばっかりだったら、
つまらないというか、気持ち悪いというか、
そんな風に感じる人は、筆者だけではないはずです。

ミヨシ石鹸は、石鹸売って約1世紀、正確には90年。
現在、同社は、玉の肌石鹸株式会社と同じ敷地内にあります。
まあ、いわば系列会社なので、
お互いがお互いの商いを
相互に助け合っていたりもするのだと思います。

miyoshi15
スタッフの方々が一点一点を丁寧に検品していきます。最後はやっぱり人の手と目が重要になります。

miyoshi16
ズラッと並べられた石鹸。美しいですねー。

下町らしさとお洒落さ

両国駅からテクテク歩いて到着した会社の、
昔ながらの空気感は、「下町の会社!」の風情です。
古めかしくもしっかりしたつくりの建物には、
どこかアンティーク感すら漂っています。
そういったいくつかの要素が、絵、香り、音で五感にやってくると、
すごいハーモニーを感じさせてくれるのですね。
しかし、この会社がすごいところは、
このオールドクラシックな素敵さだけではありません。
筆者はかつて、東北の石鹸工場、こちらも手づくり感の溢れる
工場を取材したことがありますが、
比べてみると、違いは規模の大きさとお洒落さです。
規模についてはコチラの工場の方が大きい。
そして、お洒落さにおいてもこちらの方が格段にお洒落です。
と言っても、その東北の石鹸工場には
また違ったアットホームな良さがあるのですけど。
さて、お洒落さに関してもっと言うのなら、
ミヨシファクトリーのホームページを見てもらうと
それは皆さんにも感じ取っていただけるものだと思います。

miyoshi11
筒状の石鹸がスーッと伸びる様子は圧巻です。

miyoshi12
スーッと伸びる石鹸をスパンッスパンッと形に抜いていきます。

ミヨシファクトリー

ほら。

工場内には実力たっぷりの職人感が溢れていてるのだけど、
ホームページには生活にぜひ取り入れたいと憧れさせる
お洒落感が漂っているのです。
職人とお洒落さが見事なマッチング!
(この表現自体が、ちょっとお洒落ではないけれど)
筆者自身これまで、
あまたいろいろな職人さんたちを取材してきましたが、
「つたえること」と「つくること」を
お客さんの多くに喜ばれる形で実現できている、
こういう会社って、そうそうないかもしれないですね。
そう、お洒落と言えば、ミヨシファクトリーソープの、
三角形のテトラパックのデザインを手掛けたのは、
インダストリアルデザイナーとして世に名を馳せている
柴田文江さんなんだそうですよ。
そして、グラフィックの担当は、廣村正彰さん。
知る人が知ったら、何ともゴージャスなコンビです。
しかし、このふたりにお願いしようと考えた人、
三木逸朗さんが、案外いちばん、凄いのかもしれません。

miyoshi13
石鹸の形の石鹸と、いびつな形の石鹸が、一個ずつ並んでおります。「端切れ」と「本体」、そんな感じ関係です。

miyoshi20
ホコリがかからないようにトレーシングペーパーのような紙で覆われて、あとはパッケージされるのを待つばかり。

特別なことなんて何もない?

こういう会社を訪れた縁。
せっかくの、稀な機会なので、
これはいろいろ聞かないといけませんね。

そう思い立ち、

「一体、どんなところから発想すると、
こういうデザイナーさんたちの名前が出てくるんですか?」

「NYで働かれていた、しかもデザイナーとして! それはじゃあそのキャリ
アが何らかの影響を与えているかもしれないんですね?」

「石鹸メーカーの一族に生まれるってことはどういうことなんですか?」

「お父様からの影響ですか?」

矢継ぎ早に、恥と外聞を置き去りにして
質問を繰り出す悲しき職業病。

そうして返ってきた答えは、

「特別なことは何もありませんよ。

ただ、”フツウ”にやってきただけです。
他の人と何も変わりません。
特別なことはないんですよ」(三木営業部長)

miyoshi17
次は四角い石鹸でしょうか。

miyoshi18
溝にピッタリとはまった石鹸が次から次へと流されていきます。

おっと、これは、どうも野暮を聞いてしまったようです。
ここは下町、粋さや気っ風の良さを大切にする土地柄です。
ああ、悲しき郊外っ子。
つい野暮をやってしまうのですね。
しかしそんな野暮な筆者にも、三木営業部長は
心寛くお土産の「Miyoshi Factory Soap」を
ひとセットくださりました。
もう既に持っていたのですが、ありがたくいただき、
改めて使ってみると、香りもいいし、肌触りも心地良い。
うーん、まさに良心的で職人的な、
確かに真のまごころに溢れた石鹸でした。
しかも値段も良心的なんですよ。
だいたい、1パック400円くらい。
ご興味あれば、サイトでチェックしてみてくださいませ。
せっかく工場を見せていただいたので、
是非、工場内の様子をズラリ写真でお楽しみください。
ファクトリーソープの製造風景ではありませんが、
石鹸工場ってこんな感じです。

miyoshi10
うわぁーー。

miyoshi09
すごい勢いでまわっています。

miyoshi05工場は大きく、その設備も充実しています。

miyoshi22
海を越えてやってきた原材料でしょうか。パッケージが外国風で格好いいですね。

miyoshi07
生地に「なの花」と書かれています。なの花の油からつくられる石鹸なのかもしれません。

miyoshi19

何やら破片のようなものをボックスへと投げ込んでいますね。

ミヨシ石鹸

コメント