マガジン

即興演奏家夫妻のお祭り、月見堂

2009年7月16日 0 コメント

鷺沼という土地には月見堂という不思議な夫婦が営むお店があります。今回、ここに注目したのは、この夫婦が2009年の5月16日に行った即興演奏のライブがあまりにも美しく、神々しく、素晴らしかったからです。彼らが一体何者であるのかは、ひと言ではなかなか言い表せません。「前衛音楽家」という単語を使うこともできるし、「ショップオーナー」というわかりやすい単語を使うこともできます。明らかに普通の人とは違った表情を浮かべる彼らは、めったに出会えない生き方をしている人たちのようです。

訪ねた人:織茂敏夫 & おりもしづこ
場所:月見堂
取材:鈴木 "スズ" 隆文

tsukimi01

こんにちは。まず最初にこの場所のコンセプトというか、何をやっている場所なのかを簡単にご説明いただけますか?

敏夫:ここでは縄文式の土笛を売ったり、何かお祭り事、イベントをしてみたり、ワークショプをしてみたり、いろいろな人たちが集まってくる場所として運営をしています。

しづこ:自分たちがやるお祭りは、「パンク神楽」とか言っちゃって、奇声をあげたり太鼓を叩いたりするから、まわりの人たちは奇異の目で見るし、”宗教行為はおやめください”とか言われてしまって、警察にまで通報されてしまうような場所です(笑)。本当は、そんなんではないんですけどね。
tsukimi03

tsukimi061

なるほど。おふたりは自分たちでは、どういう仕事をしているという意識があるのでしょうか?

しづこ:ただ、楽しいことをやっているということだと思います。即興演奏家だとも思われているでしょうし、お祭りをする人とも思われているでしょうし、大馬鹿者だとも思われているでしょうね(笑)。

敏夫:僕らは楽しいお祭りをやっていって、大地を清めて、土地おこし村おこしのようなことをやっている。そういうことをただそのときそのときに合わせてやってきているだけなんだよね。

tsukimi09

tsukimi25

わかりやすい言葉で言うと、「お祭りをする即興演奏家」という感じだと思うんですけど、どんな場所でどんな風にやってきたんでしょうか?

敏夫:関東地方の土地はほとんどまわりましたね。佐野、小山、佐野、足利、前橋、高崎、栃木、益子、笠間、それから伊豆とね。東京からすぐいけるけど目に入らないそういう場所を関東自治共和国と呼んで、「神楽芸能団」ということで巡演しにいっていたんです。

しづこ:私たちは、各地でお祭りをして、みんなのテンションをパーッと上げてしまうのは大得意なんです(笑)。昔は、その上がったテンションを下げる仕方がわからないで、大変でしたけどね。みんなを祭りのテンションにしてしまって、しばらく元の日常生活に戻れないような精神状態にしてしまっていましたね(笑)。

tsukimi05

tsukimi14

どんな規模であれ、知らない人の土地に行ってお祭りをオーガナイズして、現地の人ではない人間が現地の人たちをお祭りに巻き込むというのは、大変なことだと思うのですが、リーダーシップだとか、お金の問題だとか、いろいろあると思うのですけど、一体どうすればそんなウルトラCのようなことをしたり、そういうことだけをして生活をしてこられたのでしょう?

しづこ:土地の人じゃないからこそ受け入れてもらえているというのもあるかもしれないですね。後は、そのときそのときを楽しんで、「今、楽しかったらいいじゃないか」ということをやっていれば、自然といろいろなものが形になっていくんじゃないかと思うんですね。お金だって、ぎりぎりのところで毎回、誰かが助け舟を出してくれるということがあります。野菜を送ってきてくれたり、お米をくれたり、器をくれたり、どういうわけか奇跡的に今までこんなに好き勝手に自由や平和を感じる生活を享受してきたのに、生きてこられている。

敏夫:みんなを巻き込んで食事を出すなら、その土地の農家の人がつくっているお米や野菜、そして、その食事を盛りつけるのはそこでつくられている器、それから書をやっている人だとか絵をやっている人だとか、料理の腕前が凄い人だとか、通の人が煎れたコーヒーだとか、そういう人たちをみんなを参加させて、イベントをやるんですね。田舎というのは、凄いインテリとか技術者とかが実はいっぱいるんだけど、みんな同じ土地に住んでいるのに、横のつながりがなかったりするの。そういう人たちのところに、最初はゆっくり入っていて、話を丁寧に聞くんだね。それで、いざやるという時がきたら、一気に強引に自分の世界に引きずり込んで事を進めて、みんなに与えた役割を演じてもらうんですよね(笑)。そうすると、ワーッとなっているうちにお祭りが終わるという、そういうことをずっと繰り返しやってきたわけですよね。

tsukimi10

tsukimi23

しづこ:敏ちゃんなんて、そういうインテリの前で演説ぶっちゃったり、私だって、隠れた凄いミュージシャンの前で演奏をしたりしてきたんです。彼らからしたら、大馬鹿者ですよ(笑)。でも、それで、いいんですよ。彼らとしては、自分たちではできない、よそ者がやってくれたという感じなのでしょう。でも、彼らを表舞台にあげてあげることで、みんなに血が通って、生き生きしてもらえたらいいと思いながら、一回一回を大切にやってきた感じなんですね。

敏夫:僕らふたりは、「聞こえないもの」とか「見えないもの」、空気とか気配とか、そういうものを考えたり感じてもらえるキッカケづくりができたらいいなぁ、そう思っていますね。

tsukimi21

なるほど。お話を聞いていると、奥が深すぎますね。では、最後に今後の夢やビジョンのようなものを語っていただけますか?

しずこ:私の仕事は、過去から未来へ、今を楽しんだり、今を生きたりすることをお祭りや音楽を通してつないでいくことだと思っています。

敏夫:日本人だからできることがやりたいですね。僕らの思うお祭りを日本からはじめて、アジアを通って、アフリカの地に辿り着くようなそんなことかもしれないですね。

tsukimi131

コメント